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2010年8月 3日 (火)

JALの事業規模縮小がバックアップ会社の乗り入れにも影響?

 JAL本体の更生問題も大切ですが、JALが間違いなく事業規模の縮小均衡を図っていく中で、JALの撤退路線をバックアップあいていくはずの外国航空会社が実質的に乗り入れしにくくなっているような感じを持っています。

 グランドハンドリングってどういう仕事か知っていますか? 空港の旅客カウンターでチェックイン業務をしてくれるグランドホステス、卓球のラケットみたいなのを持って到着する航空機を誘導するマーシャラー、航空機に給油する人、手荷物が入ったコンテナを搭載する人。

 こういった人たちがやっている業務をグランドハンドリングと総称します。このグランドハンドリング業務は遅滞なく行われなければなりません。飛行機を運航するには航空機そのものやパイロットも不可欠ですが、同じように航空機運航を支えるグランドハンドリングなしには飛行機は飛び立てません。

 JALは現在、路線の撤退や減便に躍起になっているます。貨物便に至ってはこの秋に運航を中止します。こうした一連の事業規模縮小によって、グランドハンドリングの受け入れ体制もスリム化が迫られています。

 ただ、このグランドハンドリング事業は自社機への対応だけではなく、日本に乗り入れる外国航空会社の分も引き受けているのが普通です。従って、JAL便減少に伴うJALのグランドハンドリング体制の見直しは、外国航空会社の受け入れに大きく影響してくる可能性があるのです。

 このグランドハンドリング事業、かつてはJALの独占業務でした。しかし、ライバルA社が国際線に進出し、邦人航空会社系2社が牛耳る時代が続いてきました。

 具体的にどういうふうに第三者を排他してきたのでしょうか。簡単ですね。2社で空港内の旅客カウンター施設、貨物なら上屋といわれる倉庫を独占するのです。空きスペースがありませんから、第三者が進出する余地が生まれないのです。

 旅客カウンターの場合、チェックイン処理のために自社システムの端末を旅客カウンターに設置します。そうすると、取扱便のない時間帯でも旅客カウンターを明け渡さないです済みます。

 自社便の取り扱いがない時間帯は、受託航空会社の取り扱いをして、できるだけ端末を使わない時間が極力出ないようにします。

 貨物上屋の場合は、基本的にこれまでずっと不足してきました。新しい施設ができたとたんに邦人航空会社で分け合い、空きスペースを残さないのです。

 ですが、ここに風穴が空きました。JALが減便のために、空港内施設をすべて維持できなくなったのです。そうしたら、スペースを返します。そこに第三者の参入できる余地が生まれました。

 しかし、このグランドハンドリング事業というのは、地方のグランドハンドリング会社が新しい空港ですぐに事業を始められるものでもありません。グランドハンドリング事業というのは、いくらシステム化されたとしても、人海戦術的な要素がそのまま残っている業務でもあるのです。

 さらに、新しい空港でグランドハンドリング事業を興そうとしたら、一定のスタッフ確保が必要です。一定のスキルを持ったスタッフの雇い入れも大きな要素ですね。逆にこのことは空港周辺での雇用対策になるという要素も併せ持っています。

 ただ、事業するためのスペースは空いたが、基本的にとりあえずのカスタマーがまだ決まっていない状態では、どういうふうにしてタイミングよく募集活動をすればよいのか、難しい経営判断になります。

 JAL自体もグループとしての経営状況が厳しくなってきましたので、そうしたグランドハンドリング関係会社を購入してもらえる企業がいるのなら、ぜひ売りたいとも考えています。

 しかし、JALグループ内でのグランドハンドリング関連会社に対する評価額は、買いたいと思っている企業の指し値とはかなり差があるようです。JAL自体にも、圧倒的な業界シェアを背景にしたグランドハンドリング業務であったにもかかわらず、それが高品質なサービスを提供してきたと勘違いしているようなフシがあります。

 JALは、グループ全体の事業規模の縮小で、新規航空会社のグランドハンドリングを受け入れる余裕がなくなってきています。そうしますと、JALが新規乗り入れ航空会社だけでなく、現在取り扱っている航空会社さえもグランドハンドリングの引き受けを断るという異常事態が現場では発生しています。

 特に、これから日本に乗り入れようとしている航空会社は、JAL便の撤退や減便を実質的にバックアップする形で就航を決めたのに、グランドハンドリングを引き受けてもらえずに、乗り入れできないなんてこともあり得るわけです。

 JALがやらないのなら、空港会社が直接グランドハンドリング事業の経営に乗り出すことも考えられます。外国の空港では普通に見られる形態です。ただし、グランドハンドリング事業はがっぽりもうけられるものでもないので、空港会社はグランドハンドリング事業の経営には相対的に及び腰です。

 そうすると、国がいくらオープンスカイやLCC優遇方針を打ち出したとしても、結果としてJALの撤退路線をバックアップする新航空会社が日本に参入できないことになります。実際、日本の空港のハブ化が国も含めよく叫ばれますが、グランドハンドリング体制の再構築も合わせて政策的に誘導していかないと、日本の空港の崩壊はJALとともにやってくるということになりかねませんね。

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